遺産分割協議とは、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めるための手続きです。被相続人(亡くなった人)が遺言書を残していなかった場合、この協議を行う必要があります。
その1:協議が必要なケース
遺産分割協議は、以下のような場合に必要となります。
① 遺言書がない場合
遺言書がない場合、法定相続分が適用されますが、実際に遺産を分けるためには、誰がどの財産(不動産、預貯金など)を相続するかを具体的に決める必要があります。
相続人が決まったら、不動産の名義を故人から新しい所有者(相続人)へと変える「相続登記」を行います。この手続きをしないと、不動産を売却できません。
															② 遺言書の内容と異なる分割をしたい場合
たとえ遺言書があったとしても、相続人全員が遺言書の内容と異なる分け方に合意すれば、遺産分割協議で自由に遺産の分け方を決めることが可能となります。
															その2:協議の進め方
① 相続人の確定
まず被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを収集し、誰が法的に相続人となるのかを特定します。遺言書がない場合は法定相続分が適用されますが、実際に遺産を分けるためには、誰がどの財産(不動産、預貯金など)を相続するかを具体的に決める必要があります。
															▼
② 相続財産の調査と評価
不動産、預貯金、株式、借金などの財産を全てリストアップし、評価額を計算します。
															▼
③ 遺産分割協議
相続人全員で、どの財産を誰が相続するかについて話し合います。特定の相続人が多めに受け取る代わりに、他の相続人に代償金を支払うといった方法も可能です。
															▼
④ 遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で合意した内容を文書化します。全員が署名・捺印することで、法的な効力を持つ正式な書類となります。この書類は、不動産の名義変更や預貯金の払い戻し手続きなどで必要になります。
															その3:注意点
● 相続人全員の合意が必要
たった一人でも反対する相続人がいる場合、遺産分割協議は成立しません。その場合は、家庭裁判所の遺産分割調停や審判に移行することになります。
															● 「相続放棄」とは異なる
相続放棄は、借金などを含めて一切の財産を相続しない手続きであり、家庭裁判所での手続きが必要です。一方、遺産分割協議は、財産をどのように分けるかを話し合う手続きです。
															遺産分割協議は、相続人全員が納得できる形で進めることが重要です。協議がうまくいかない場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。