財産を託す方
相続とは
相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産や権利義務を、残された家族などが引き継ぐことです。具体的には、土地や建物、預貯金、株式といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
また、相続人になる人は民法で定められています。配偶者は常に相続人となり、それに加えて子ども、親、兄弟姉妹が順位に従って相続します。
相続が始まると、以下のような手続きが必要です。
■ 遺言書の確認: 故人が遺言書を残している場合、その内容が最も優先されます。
■ 相続人の確定:誰が相続人にあたるかを戸籍などで調べます。
■ 財産の調査:どのような財産があるのかをすべて洗い出します。
■ 遺産分割協議:相続人全員で、財産をどう分けるかを話し合って決めます。
■ 名義変更:不動産や預金口座の名義を相続人に変更します。
相続には、すべての財産を引き継ぐ「単純承認」、借金が多い場合に相続を一切しない「相続放棄」、プラスの財産の範囲内で借金を返済する「限定承認」という3つの選択肢があります。
「相続放棄」、「限定承認」の場合は、相続が発生したことを知ったときから、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをする必要があります。
相続人とは
相続人とは、亡くなった人(被相続人)の財産を法的に受け継ぐ権利を持つ人のことです。一般的に、配偶者や子供、両親、兄弟姉妹などが相続人となります。相続人の範囲や順位は、民法で定められています。
■ 配偶者:常に相続人となります。
■ 子供(直系卑属):配偶者がいる場合は、配偶者と共同で相続人となります、次順位の直系尊属(両親など)が相続人となります。
■ 両親(直系尊属):子どもがいない場合に相続人となります。(第2順位)配偶者がいる場合は、配偶者と共同で相続人となります。
■ 兄弟姉妹(甥姪):子どもも、直系尊属もいない場合に相続人となります。(第3順位)
注意点
● 相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを遺産分割協議で決定する。
● 遺言書がある場合は、遺言書の内容が優先される。
● 相続税の申告が必要な場合もある。
法定相続分とは
法定相続分とは、民法で定められた遺産の相続割合のことです。遺言書がない場合や、遺産分割協議で相続人全員の合意が得られない場合に、この割合が適用されます。遺産を公平に分けるための基本的なルールだと考えるとわかりやすいでしょう。
● 法定相続人の範囲と順位
法定相続人には、法律で定められた範囲と優先順位があります。先順位の人がいれば、後順位の人は相続人にはなれません。
● 法定相続分の割合
相続人の組み合わせによって、法定相続分は以下のように決まっています。
■ 配偶者のみが相続人:配偶者が全ての遺産を相続します。
■ 配偶者と子が相続人:配偶者: 2分の1 子: 2分の1(子が複数いる場合は、この2分の1を均等に分けます)
■ 配偶者と直系尊属が相続人:配偶者: 3分の2 直系尊属: 3分の1(複数いる場合は、この3分の1を均等に分けます)
■ 配偶者と兄弟姉妹が相続人:配偶者: 4分の3 兄弟姉妹: 4分の1(複数いる場合は、この4分の1を均等に分けます)
● 法定相続分と遺留分の違いとは
「法定相続分」と「遺留分」は混同されがちですが、まったく異なるものです。
■ 法定相続分:遺言書がない場合の遺産の分け方の目安です。
遺言があれば、この割合とは違う分け方を指定できます。
■ 遺留分:兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、子、直系尊属)に最低限保証された遺産の割合です。
たとえば、遺言で「全財産をAに渡す」と書かれていても、遺留分を侵害された相続人は、Aに対して遺留分に相当する金銭を請求する権利があります。
相続に必要な手続き
相続発生後の手続きと流れ
大切な方を亡くされた悲しみの中、相続手続きを進めるのは精神的にも大きな負担です。「何から手をつければ良いのか」「誰に相談すれば良いのか」と、戸惑う方も少なくありません。相続手続きは一般的に以下の流れで進み、多くに期限が設けられています。